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退職金の税金はどう決まる?控除と手取りの基本解説

最終更新日 2026-11-04 | 著者:Faizan Khan Yousufzai

退職金を受け取るとき、額面そのままが手元に残るわけではありません。所得税と住民税が引かれたあとの金額が、実際に使える手取り額です。この記事では、退職金の税金がどう決まるのかを、やさしい言葉で順番に説明します。

退職金の税金は、給与とは切り離して計算します。これを分離課税といいます。退職した年に給与が高かったとしても、その影響で退職金の税率が上がることはありません。

自分の退職金の手取りの目安をすぐ確認したい方は、退職金の手取りシミュレーションもご利用ください。

退職金の税金は4つのステップで決まる

  1. 退職所得控除を差し引く。勤続年数に応じて決まる控除額を、退職金の総額から引きます。
  2. 残りを2分の1にする。控除後の金額の半分だけが課税対象になります。これを2分の1課税といいます。
  3. 所得税の税率をかける。課税退職所得に超過累進税率を適用し、さらに復興特別所得税2.1%分を加えます。
  4. 住民税を加える。課税退職所得の10%が住民税としてかかります。

数式で表すと、課税退職所得 =(退職金の総額 − 退職所得控除額)× 2分の1 です。計算の途中で出る課税退職所得は、1,000円未満の端数を切り捨ててから税率をかけます。控除額が退職金の総額を上回れば、課税退職所得はゼロとなり、税金はかかりません。所得税と住民税は、それぞれ100円未満を切り捨てて計算します。住民税は所得税とあわせて支給時に特別徴収、つまり天引きされます。

退職所得控除額の決まり方

退職所得控除額は、勤続年数だけで決まります。勤続20年までは1年につき40万円ずつ増え、20年を超えた部分は1年につき70万円ずつ増えます。1年未満の端数は1年に切り上げます。たとえば10年2か月勤めた場合は11年として計算します。障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、控除額に100万円が加算されます。

勤続年数退職所得控除額
5年200万円
10年400万円
20年800万円
30年1,500万円

まず自分の勤続年数にあたる控除額を確認し、それと退職金の総額を比べてみてください。退職金の総額が控除額以下なら、税金はかかりません。

所得税の税率表の読み方

課税退職所得が出たら、そこに所得税の税率をかけます。退職所得にも、給与と同じ超過累進税率の表を使います。税率は、課税退職所得が195万円までは5%、330万円までは10%、695万円までは20%、900万円までは23%、1,800万円までは33%、4,000万円までは40%、4,000万円以上は45%で、それぞれ控除額が決まっています。この表で出した所得税額に2.1%分を上乗せしたものが、復興特別所得税を含めた実際の所得税額です。最後に、課税退職所得の10%の住民税を加えると、税金の合計が出ます。

計算例:勤続30年・退職金2,000万円の場合

  • 退職所得控除額:800万円 + 70万円 ×(30年 − 20年)= 1,500万円
  • 課税退職所得:(2,000万円 − 1,500万円)× 2分の1 = 250万円
  • 所得税:250万円 × 10% − 97,500円 = 152,500円。復興特別所得税を加えて100円未満を切り捨てると 155,700円
  • 住民税:250万円 × 10% = 250,000円
  • 税金の合計:405,700円、手取り額:19,594,300円

額面2,000万円に対して税金は約40万円、割合にしておよそ2%です。退職金は控除と2分の1課税の二重の仕組みで負担が抑えられています。数字を自分の条件に置き換えて試したい方は、退職金の手取りシミュレーションに勤続年数と退職金の見込み額を入力してみてください。

勤続5年以下と公務員・役員の場合

勤続年数が5年以下の退職手当は「短期退職手当等」と呼ばれ、退職所得控除を引いた後の金額のうち300万円を超える部分には2分の1課税が適用されません。例として、勤続4年・退職金800万円の場合、控除は160万円で、控除後の640万円のうち300万円分は2分の1で150万円、残りの340万円はそのまま課税対象となり、課税退職所得は490万円です。税金の合計は1,054,100円で、手取りは6,945,900円となります。役員としての勤続年数が5年以下の場合は「特定役員退職手当等」にあたり、2分の1課税が一切適用されません。

公務員の退職手当は、基本の構造が「退職手当 = 基本額 + 調整額」です。基本額は「退職日の俸給月額 × 支給率」で求めます。支給率は勤続年数と退職の理由によって変わり、自己都合の場合は定年などより低い割合になります。地方公務員の退職手当は各都道府県・市区町村の条例が根拠で、警察官は都道府県の職員、つまり地方公務員です。支給額の決まり方は民間と違っても、税金の計算方法は公務員も民間もまったく同じで、退職所得控除と2分の1課税が適用されます。

役員退職金では「功績倍率法」が広く使われています。計算式は「役員退職慰労金 = 退職時の最終報酬月額 × 役員勤続年数 × 功績倍率」です。功績倍率は、代表取締役で3.0倍程度、専務で2.5倍、常務で2.0倍、取締役で1.5倍、監査役で1.0倍といった水準が実務上の目安とされることが多く、支給には株主総会の決議が必要です。

計算結果を使う前に確認すること

  • 同じ年に別の退職金を受け取った場合。同じ年に別の退職金を受け取った場合や、企業年金の一時金との重複がある場合は計算が変わります。
  • 退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合。申告書を提出しないと、退職所得控除が適用されず、退職金の額面に一律20.42%の税率で源泉徴収されます。
  • 退職金の金額そのものがまだ決まっていない場合。支給額そのものは、勤め先の退職金規程や条例で決まります。

正確な税額は勤務先の担当者や税務署、税理士にご確認ください。本ページは税務相談の代替にはなりません。日本の計算ツールをほかにも見たい方は、日本の計算ツール一覧をご覧ください。新しい解説記事は、Calcotiaブログにもまとまっていきます。

よくある質問

退職金に税金がかからないのはいくらまでですか?

退職所得控除額の範囲内なら税金はかかりません。控除額は勤続年数で決まり、勤続30年なら1,500万円まで、勤続20年なら800万円までは所得税・住民税ともにゼロです。控除を超えた分も、その2分の1だけが課税対象になります。

勤続年数はどう数えますか?

退職所得控除の計算では、勤続期間の1年未満の端数は1年に切り上げます。たとえば勤続10年2か月なら11年として計算します。入社日と退職日を確認し、端数がある場合は切り上げた年数で入力してください。

退職所得の受給に関する申告書を出さないとどうなりますか?

申告書を勤務先に提出しないと、退職所得控除が適用されず、退職金の額面に一律20.42%の税率で源泉徴収されます。払い過ぎた分は確定申告で精算できますが、手続きの手間を避けるためにも、退職前に申告書を提出しておくのが確実です。